なんかふっと降ってきた

と言う訳で、本日二回目です。
ただたんにお話
でもちょっとだけ実話

もしも友達がある恋について悩んでいたら・・・・
あなたはどうしますか・・・・？


今日も一日が終わった。きっと明日も何も変わらず進んでいくんだろうな。
はぁ、とため息をついてあたしはケータイの画面を見る。
メールが一通。ウサからだ。
ウサはあたしの友達。周りから言うと『親友』と言うものらしい。
でもあたしはウサからのメールは嫌い。だって向こうが一方的に送ってきてこっちが送っても返事してくれないんだもの。
だから無視しようかな、と思ったけどあたしの良心がそれはだめって言うから渋々メールを開いた。

『今から会えない？』

それだけ。こっちは塾で忙しいのに。
でも話をするのは好きだから付き合ってあげることにした。


「ごめんね、スー。こんな時間に。」
そう思うなら呼ばないで欲しい、とは言えずににこにこと笑っておいてあげる。
「今から塾だったんじゃないの？本当にごめん。」
謝るなら呼ばなきゃいいのに・・・・言わない。適当にあしらって話を始めるようにし向ける。
あたしはこれでも心理カウンセラーを目指してる。だから相手の言うことに否定はしないようにしてる。
ま、これは患者さんじゃないからたまに思い切り否定しちゃうけどね。
「いいのよ、ウサ。で、今日はどうしたの？」
「聞いて欲しいことがあるの。」
ウサがこんなに神妙な顔をして話をするなんて初めてだから驚いたけどさっきの顔を崩さないようにする。
「私ね、好きな人がいるの。」
お待たせいたしました、とウェイターさんが紅茶とコーヒーを運んでくる。
あたしはそれに口を付けながら続きをさりげなく促してあげる。
「その人はね、大学生なの。」
見当がつきそうな話ね。別れ話の相談かしら。
「・・・・塾の先生なの。」
ふぅん、であなたはどうしたいの・・・ってえ？
平然を装いながらもあたしのあたまは驚きを隠せない。
「あの人はその事気にしてるみたいで・・・。塾側としてもそんな関係になった人たちを残す訳にはいかないみたいだし・・・・・。スー、私どうすればいいのかしら？」
そんなこと聞かれてもあたしだってわからないわ。そんな経験ないもの。
そう言いたかったけれどそれ以上ウサがしゃべらなくなったからこっちだって何も言えなくなった。
大変お待たせいたしました、とまたウェイターさんが来る。真っ赤なイチゴが乗ったショートケーキとしっとりとしたチーズケーキ。普段ならとても魅力的なのに。
ここのウェイターさんタイミング悪すぎ。や、反対にいいのかしら。とか思ったけどそんなことは今どうでもいいわ。
「・・・ウサはどうしたい？」
絞り出した声がこれ。だって結構長い間一緒にいた友達がいきなりそんな恋の話してきたら対応に困るもの。
「私は・・・・あの人と一緒に暮らしたいわ。」
なら、そうすればいいじゃない、って言いかけたけどこれはダメ。無理に自分の意見を押し付けたら相手は困るものね。
「じゃあそうできるように一緒に方法を考えましょう？」
どうしてあたしはこんなに面倒くさいことに首を突っ込んじゃったのかしら。
ほっとけないから？ちがうわ。好奇心よ。きっとそうだわ。

結局収まったのは夜も更けた時間だった。
当然あたしは親に叱られた。塾へも行かず、こんな時間までほっつきあるいてたんだからしょうがない。
本当はウサのこと恨みたかったけど恨めない自分がいたからもう面倒くさくなってどうでもよくなった。
「今年一年がまんしてあの人と同じ大学へ行くわ！」
ウサが出した結論。あたしには理解不能よ。
だって今恋してたって来年は変わるかもしれないのよ。だって相手は塾の講師。
ほとんど毎日あってたからそう言う感情が出てきただけだと思うの。あたし的にはね。
でもそんなこともうどうでも良いわ。ウサがそれで幸せになるのなら。
これからも話くらいは聞いてあげても良いと思う。

その後ウサはその塾の講師と付き合ったみたい。塾も辞めて。ウサのお母さんが泣きながら『あの子が悪い男に騙されてる』ってあたしの家に来たもの。
あたしのお母さんとウサのお母さんもあたしとウサみたいな関係だから。
本当に世話のかかる子ね！ってお母さんが零したのは聞かなかったことにしてあげる。
で、ウサはと言うと元気にやってるみたいよ。たまに一方的なメールが入るもの。
ほらまたメール着信。内容は────

『今から会えない？』

これから塾なのに！でもきっとあたしはあの喫茶店で言うんだわ。
「きょうはどうしたの？」ってね！